PBW『シルバーレイン』における、クガネ(
b06009)、シロガネ(b06013)の共有日記です。
興味ない方はゆーたーんの方向でお願いしまー
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凛と、通る。綺麗な声が言う。
夏の日差しが入り込む。
そよそよと、入り込む風は僅かに熱気を帯びて。
古ぼけた井草の香りに包まれた部屋。
クガネとシロガネは並んで正座をしている。
どこか緊張した面持ちで、じっと座り込んでいるのはクガネ。
どこか落ち着かない様子で、空いた襖から外を眺めているのはシロガネ。
その目の前には、和服を着こんだ壮年の女性が一人。
「……貴方達を、」
発された凛と通る声に、双子が背を正す。
「…貴方達を、あの学園にやったのは、間違いでしたね。」
間違いでした。私の、判断ミスでした。
声はいう。
貴方達は変わってしまった、と。
けれどそれは悪い変化ではない。
貴方達は欠けていたものを、それぞれ、手に入れた。
「シロガネ、」
……貴方は、大切なものができたのですね。
シロガネが、僅かに、息を詰めた。瞳が揺れて。
何かを発しようと開きかけた口を、逡巡の後、きゅっと閉ざす。
幼いころから、貴方にはこの場所だけしか与えませんでした。
貴方には、この箱がすべて。家がすべて。
そう、教えてきました。そう、育てました。
………私はずっと、そのことを、後悔していた。
貴方の世界を限ってしまった。貴方の心を限ってしまった。
ずっと、ずっと、後悔していた。
「…行きなさい。」
先程から気にしているのは、その者のことなのでしょう。
ならば、行きなさい。いきなさい。
そして、
「今度来るときは、貴方の世界の話を聞かせて」
険しい顔を僅かに緩めて、女性は微笑む。
「………はい、」
小さく、息をのんで。
自然と微笑んだ、その表情は、泣きそうな、
「…はい、必ず。」
「クガネ、」
シロガネが去った部屋で、女性は目の前の青年に口を開く。
びくりと、僅かに肩を震わせて。クガネが視線を返す。
「クガネ、貴方は、」
欲しかった世界を、見つけたのですね。
家のことを考えて、貴方を里子に出して。
戻ってきた貴方は、全ての人から切り離されてしまったような。
自分だけの世界を持っていた。
そう、自分だけ。貴方だけ。貴方以外には誰も居ない。
真っ白な世界に、貴方はいましたね。
私は、そんな貴方が、心配だった。
「…しん、ぱい」
想いもがけない言葉に。クガネがぱちりと、瞬く。
「クガネ、貴方は、私を憎んでいるかもしれない」
けれど、
「貴方は、私の、たいせつな息子です。」
一瞬、呼吸を忘れたように。
ひゅっと、小さく、息を紡ぐ。
だから、私は、貴方達をあの学園にやったことを、悔いている。
貴方達を危険に近づけてしまった。
そのことを、今、悔いている。
けれど、悔いても、遅いのでしょう。
「クガネ、」
「貴方の世界を。」
「貴方の意志を。」
「守りなさい。」
後悔などしないように。
うん、うん……ありがと
ごめんね、いってきます、――おかあさん
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プロフィール
HN:
クガネ+シロガネ
性別:
男性
自己紹介:
【クガネ・イリネ】
幼い頃より本家の問題児として本家から離れ育つが、能力が覚醒したことにより呼び戻される。本家跡取り。
明るく楽しくがモットー。
ぎゃぁぎゃぁ騒ぎはするものの、実は感情の起伏が乏しかったりする。
≪好物≫
オムライス、槻代兄弟
≪嫌い≫
テレビ、オバケ、辛いもの
【シロガネ・イリネ】
本家初の能力者として重宝されていた。
常にクガネを補佐する立場にあるためか、はたまたまた違う理由があるのか、クガネに対してコンプレックスを抱いている。
無表情を装っているが、意外に感情豊かだったりする。
≪好き≫
甘いもの、家事、静かな場所
≪嫌い≫
クガネ
幼い頃より本家の問題児として本家から離れ育つが、能力が覚醒したことにより呼び戻される。本家跡取り。
明るく楽しくがモットー。
ぎゃぁぎゃぁ騒ぎはするものの、実は感情の起伏が乏しかったりする。
≪好物≫
オムライス、槻代兄弟
≪嫌い≫
テレビ、オバケ、辛いもの
【シロガネ・イリネ】
本家初の能力者として重宝されていた。
常にクガネを補佐する立場にあるためか、はたまたまた違う理由があるのか、クガネに対してコンプレックスを抱いている。
無表情を装っているが、意外に感情豊かだったりする。
≪好き≫
甘いもの、家事、静かな場所
≪嫌い≫
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